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発達性トラウマ障害とポリヴェーガル理論
2020/12/13 ブログ
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これまでは、

自律神経には2つ、

すなわち交感神経と副交感神経があるとされていました。

 

昼間活動しているときには交感神経が優位で、

夜眠るときは副交感神経が優位に働く、

そのバランスが取れていることが大事とされています。

 

しかし、近年の研究で、

自律神経にまつわる新し捉え方が広がりつつあります。

それを理解すると、トラウマや鬱などの症状がよく理解できますので、

ここにわかりやすくまとめてみたいと思います。

 

3つの自律神経

従来は、交感神経と副交感神経の2つとされていましたが、

最近の研究で、副交感神経はさらに2つに分かれる、とする説があります。

その2つとは、腹側迷走神経複合体と、背側迷走神経複合体と呼ばれています。

 

それぞれの働きについて

交感神経—活動、興奮、闘争、逃走

腹側迷走神経複合体—愛着、コミュニケーション、人間関係、表情、きずな

背側迷走神経複合体—シャットダウン、凍り付き、不動、死んだふり、スロー

 

神経系の進化の過程と生物の生き残り作戦

↓ 背側迷走神経複合体

↓ 交感神経

↓ 腹側迷走神経複合体

 

生物は進化の段階に応じて適切な神経を用いた生存戦略を持っています。
●高等哺乳類(人):腹側迷走神経を使って他者との「つながり」「コミュニケーション」「協力」
●哺乳類:交感神経を用いて対象に対して「戦う」か「逃げる」
●爬虫類:背側迷走神経に用いて「不動化」「死んだふり」「シャットダウン」

 

ポリヴェーガル理論

この理論では「生物が危機的状況のとき、どの神経系路を使って自己調整・環境適応をするか」を生物の進化に伴う自律神経の発達から説明しています。

 今まで自律神経による自己調整・環境適応は「交感神経」「副交感神経」の2種類によって調整されていると考えられてきました。
しかしポリヴェーガル理論では「副交感神経」を2つに分け、「背側迷走神経複合体」「交感神経」「腹側迷走神経複合体」の3種によって自己調整・環境適応が行われており、その使用は生命の進化の段階にヒエラルキーが形成されていると説明しています

 

ストレス下の人間の行動を神経系で理解する

例えば、高速道路上で玉突き事故の現場に遭遇したとします。

同じ事故現場でも、どの神経系が優位に働いているかでその人の行動が変わってきます。

 

腹側迷走神経複合体—周囲の状況を確認して、人と協力して事態の収拾を試みる。

交感神経—パニックで泣き叫ぶ。逃げ出す。

背側迷走神経複合体—呆然と動けなくなる。。気絶する。

 

子供の行動を神経系で理解する

例えばクラスのみんなでドッヂボールで遊んでいて、ボールをあてられたとします。

 

腹側迷走神経複合体—悔しいながらも楽しく遊び続けられる。

交感神経—個人的に攻撃されたと思って怒り出す。

背側迷走神経複合体—恐怖で動けなくなりボールに触りたがらない。参加しない。

 

一般的な職場での様子

人手不足で1人あたりに割り振られる仕事量が増えたとします。

 

腹側迷走神経複合体—上司に相談し同僚と協力してやり遂げようとする。

交感神経—上司に文句を言い、部下に当たり散らす。イライラしている。

背側迷走神経複合体—うつ病発症。

(パニック障害は、ストレスが限界に達した先に起こる自律神経系の誤作動によると考える説もあります。)

 

以上、3つの例を挙げましたが、

腹側迷走神経複合体がよくて、その他がダメだというのではなく、

生き残るために神経系がそうなっている、ということです。

 

ではなぜ、同じ状況なのに人それぞれ行動が変わってくるのか、

それは「耐性の窓」でよく説明されています。

赤–交感神経

緑–腹側迷走神経複合体

青–背側迷走神経複合体

 

以下、引用

ストレスがかかったとき、人は怒ったり落ち込んだりと、反応はさまざまです。また、軽いストレスで怒る人もいれば、強いストレスもものともしない人もいます。ストレスに対する耐性は人によって異なるのです。

人はそれぞれ、ストレスを許容できる範囲を持っており、これは乳幼児期に決まります。この範囲は耐性の窓と呼ばれており、ストレスを受けた自律神経は、この窓の枠のなかで上下に波打ちます。

自分の耐性の窓がどのようになっているのかを知る手掛かりとなるのが愛着のタイプです。愛着とは親と子どもの間に作られる絆です。

幼少期に「虐待」や「不適切養育」を受けるなどしてトラウマがある人は、耐性の窓の縦幅が狭くなり、神経の波は上下の枠を突き破って、ストレスに大きく反応します。

一方、幼い頃に母親など養育者との二者間でじゅうぶんな関わりがあると、子どもは感情のコントロールの仕方を学び、耐性の窓の幅は広がり、ストレスへの対応もうまくできるようになるのです。

こうした幼い頃に作られた愛着は、4つのタイプに分けられます。そこから、自分の耐性の窓がどのパターンかがわかるでしょう。

下記の愛着の4タイプから自分のタイプをチェックしてみてください。自分の愛着のタイプがわかると、自己理解が深まって、不安やイライラが軽減できたり、対人関係も良好に変化したりします。

自分が「安定型」以外だったときでも心配はいりません。「合谷タッピング」は、トラウマや恐怖を軽減し、耐性の窓の幅を広げてストレスの許容度を高める効果があります。

(合谷タッピングの効果的なやり方は「脳内ストレスdetoxタッチ」でもお伝えしています。)

 

また、「安定型」の人を身近に見つけて、お手本にするのもいいでしょう。その人のさまざまな状況での振る舞いや考え方を思い出すことによって、安定型の考え方に近づけるようになります。

すると、人との関わりがうまくいくようになり、引いては耐性の窓の幅を広げ、ストレスや不安に強くなれるはずです。

(ボディコネクトセラピーの開発者、臨床心理士/公認心理師 藤本昌樹(ふじもと・まさき)先生の記事から)

 

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