眼鏡屋で勤務する人が自社の眼鏡をかけているように、
宝石屋で働く人は、仮に男性でもなにかしらのものは身につけています。
宝石付きのネクタイピン、カフスボタン、リングなど。。
でも僕は、欲しいと思ったことはなく、
なにもつけていませんでした。
先輩方からは「江口くん、なんかつけたら？」と気さくに言われるんですが、
いつもさらりとかわしてきてました。
ところがある日、
例のK上司の機嫌がめっちゃ悪くて、
おまけに店の売り上げも「0」だったとき、、
「おい江口、お前何カ月や？まだなんも買ってへんのか？」
「これなんか、どや？」
って持ってきてくれたのがK24の喜平のネックレス。。
20万くらいの値札が付いています。
いや、似合わないし、いらないです。。
周りの先輩方は凍り付いています。
（こいつ、断りよった～～～、、、て感じで）
K上司はこめかみに血管を浮かべながら、
「よし、じゃあローンのお勉強をしましょうね？」
って、ひきつった猫なで声でローン用紙を引っ張り出してきて、
名前、住所、金額など、実際に記入をさせるんです。
（たまにヤクザに変身します）
書き終えて、ファックス流して、
そしてローン会社に電話して確認したら、、
20万のお買い上げ成立です。
書きながら、
いろんな思いが交差しました。
先輩は誰一人助けてくれないし、
ほんまにいらんし、
お金払いたくないし、
これ、必要？？？
でもなんとなく、そういう空気になっていたので
とりあえず書いて、
ファックスしました。
だれも声をかけてくれる人はいません・・・
で、最終、電話確認のときに、
ローン会社の人に、
今ファックスしたのは僕のための練習です。
破棄しておいてください！！
って伝えました。
用紙にバッテンマークをつけて、
破ってゴミ箱に捨てました。
先輩もK上司も、みんなの目が真ん丸になってました。
だって、いややったんやもん。
でも今思えば、金、持ってたらよかったかも？
高騰しとるやんね？(笑)
そんなこんながありまして、、
刺激に満ち溢れた新人時代も終わって、、
入社6か月目の9月に転勤になりました。
なんと、副店長として。(笑)
で、その秋、宝飾部門として初めて上得意様を香港にご招待するという企画があって、
なんと新入社員の僕も連れて行ってもらえることができました。
しかも、マカオまでお客様を引率するという大役まで仰せつかりました。
（行ったこともないのにね。。メキシコ行ったんやから、行けるやろ？ってノリで。。）
いやあ、楽しかったです。
後日談ですが、
K上司、ほんとは5万円の指輪を20万で売って、
僕の旅費を捻出してくれたらしいです。（内緒）
そして、当時の店長が退職されるのを機に、
年明け1月から店長就任となりました。
眼鏡の方は、人間があふれてるので、
店長になるまでに早くて10年と言われていましたが、
このスピード！
中身はないけど、なんか面白い。
サラリーマン、いつまでやるか？を次に書きます。