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ポリヴェーガル理論
2020/01/25 ポリヴェーガル理論
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ポリヴェーガル理論ってご存知ですか?

自律神経に関する新しい理論です。

1994年、精神医学のステファン・ポージス博士が提唱しました。

日本では2012年ごろからポリヴェーガル理論を目にするようになり、
ソマティックエクスペリエンスや、心理療法に携わる人、
教育者や一部のボディワーカーなどの間でじわじわ広がってきています。

僕は、イギリスでクラニオを学んでいた過程でちらっと触れてきましたが、
正直あまり記憶がありません。。

帰国後に手にした日本語訳されたクラニオ本にも紹介されていますが、
最近ポリヴェーガル理論を学ぶ中で、クラニオ本の中のポリヴェーガル理論は、ちょっと違ってるんでは?
と感じていますが、どなたか教えてください。

自分の中の理解をまとめるため、
これを書いています。

自律神経というと、
交感神経と副交感神経のバランスが・・などと言われますね。

ポリヴェーガル理論では、
副交感神経の8割を占める迷走神経に注目しています。

迷走神経は、12ある脳神経の1つで、脳幹から出ています。
脳幹の前側(鼻側)から出ているものを腹側迷走神経(哺乳類にだけ発達)、
脳幹の後ろ側(後頭部側)から出ているものを背側迷走神経と呼びます。

腹側迷走神経は、三叉神経、顔面神経、舌咽神経、副神経と連動して、腹側迷走神経複合体として働きます。
背側迷走神経は、(おそらく骨盤神経と連動して →ポージスはここをはっきり言及していない・・)背側迷走神経複合体として働きます。

ポリヴェーガルというのは、poly=複合体、vagal=迷走神経、からなる造語です。

ちょっと小難しいですが、
ざっくりいうと、

アクセル(交感神経)
ブレーキ(背側迷走神経複合体)
チューニング(腹側迷走神経複合体)

の、どの神経モードでいるか、を理解するのに役立てます。
自らの状態を客観視するのにも役立ちますし、
セラピストとして、よりバランスの取れたところへ導いてあげることができます。

具体的な例としてよく挙げられるのが、

・闘争か逃走
敵が近づいたときに闘うか、それとも逃げるか。。いずれにせよ、交感神経のアクセルが働いている状態です。

・オポッサムの死んだふり

捕食者が近づいてきたら神経システムをシャットダウン(背側迷走神経複合体のブレーキに当たります)させて、あたかも死んだように見えるというやつです。

・交通事故などに遭ったときなどに、自分や周囲の状態を確認して警察に連絡したり、相手を気遣って声をかけたりできると、腹側迷走神経複合体(チューニング)が働いてバランスが取れていると言えます。社会的にコミュニケーションがとれます。

衝撃がその人にとって強すぎた場合、背側迷走神経複合体のブレーキが作動して、いわゆるフリーズ状態になります。

その人の状態に、アクセル、ブレーキ、チューニングという3パーンしかないわけではなく、
それぞれ、グラデーションのように程度があります。

事故などに遭っていない通常の場合でも、
早口にまくしたてるように話す人は交感神経のアクセルが効いてるのかもしれませんし、
あまりしゃべらず呼吸も浅く、動きも緩慢な人は背側迷走神経複合体のブレーキが作動しているのかもしれません。

それらは、過去にあったトラウマ的な出来事や今抱えているストレスによるものが原因です。

3つの状態のどれが正解というものではなく、
必要だからそうなってるんです。
生命を守るための自動制御システムです。

このように、ポリヴェーガル理論を読み解いていくと、
大切な人のこころとからだが、どうしてそんな状態なのかを理解することができます。

僕がなぜポリヴェーガル理論に着目しているのかというと、
実は家族のことが気になってのことです。
このことはまた、別の機会に書こうと思います。

ポリヴェーガル理論の提唱者、ポージス博士が来日されます。
かなりご高齢なので、今回が最初で最後になるともいわれています。
どんなお話をしていただけるか、楽しみです。

ポリヴェーガル理論については、シリーズで書いていこうと思います。
よろしくお願いします。

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